アニコム パフェ様AWS事例
アニコム パフェ株式会社
菊地 了 様
片野 佑次 様
「アニレセシリーズ」の AWS 移行
アニコム パフェ株式会社は、ペット保険のシェアナンバーワンであるアニコム損保などを抱えるアニコム ホールディングスの子会社です。アニコム パフェはレセプト(診療報酬明細書)を作成するレセプトコンピュータの開発から事業を開始しました。現在では、システム開発、EC サイト、ペットの腸内フローラ検査、遺伝子検査など、保険以外の事業を推進しています。
同社では、動物病院用顧客管理システム「アニレセシリーズ」を提供しており、2014 年にクラウド版の「アニレセF」を提供開始、その後プラットフォームを変え「アニレセクラウド」に進化しました。しかし可用性、拡張性、セキュリティなどにおいて課題を感じていたことから、2021 年 12 月よりアマゾン ウェブ サービス(AWS)にシステムを移行しました。
「アニレセは、全国 2,500 以上の動物病院が利用する顧客管理システムです。AWS への移行により、システムの安定性、可用性を高め、処理速度を改善することに成功しました。さらに運用コストを約 50 %削減できています」
アニコム パフェ株式会社 取締役 菊地 了 様
バックエンドシステムの複雑化による課題が山積
アニコム パフェでは、クラウド化したアニレセ F を運用していましたが、システム開発会社との協業解消により、プラットフォームを移行し、アニレセクラウドに名称変更しました。しかし、バックエンドが複雑化し、様々な課題を抱えていました。
「バックエンドが複雑化しているため、ミドルウェアのバージョンアップを行うために、多くの時間をかけて調査を行う必要がありました。また単一障害点(SPOF)があったため、障害が発生するとシステム全体が停止してしまいます。さらに、顧客数をどこまで増やせるのか未知数であったため、同一のシステムを 2 系統用意して、顧客を振り分けて運用していました。2 系統を運用する分、管理が煩雑になり、コストが倍になっていることも課題でした」と語るのは、AWS 移行のプロジェクトマネージャーを担ったアニコム パフェ IT 戦略課 課長の片野 佑次氏です。
そこでシンプルで運用しやすいプラットフォームに移行することを検討しました。移行において最も重視した点について、片野氏は次のように話します。「将来的に次の世代に引き継いでも運用できるように、バックエンドを一般的なシステムを使って構築することにしました」(片野氏)
信頼性、安定性、処理速度などから移行を検討
複数のクラウド型プラットフォームを比較検討した結果、AWS を採用しました。「AWS は導入事例が多く、信頼性が高いと感じました。調べると、様々な情報が得られる点も安心でした。加えて、マルチ AZ 構成にすることで、耐障害性、可用性の向上が期待できます。SPOF を無くし、セキュリティに配慮した設計ができる点を評価しました」と片野氏は振り返ります。プロジェクトの統括を担当する菊地氏は「社内でも AWS の導入に関して、大きな期待が寄せられていました。システム構成は、複雑になりすぎないことを意識し、AWS Managed Services (AMS)を採用することで、サーバーの維持やメンテナンスに必要なリソースを削減しました」と話します。
もう一つのこだわりは、実行速度を上げるためにバックエンド開発に Go 言語を採用し、効率的なメモリ利用、マルチコア CPU の並行処理ができるようにしたことです。
AWS への移行にあたって、社内の承認を得るために、2 系統のシステムを 1 つにすることによるコスト削減、SPOF の排除による高可用性、そしてシステムの速度向上による CX(顧客体験)改善を伝えました。移行にあたっては、以前からシステム開発の支援を受けていた AWS パートナーである株式会社電算システムに依頼をしました。
CDK の採用により、開発プロセスの自動化を実施
「AWS Cloud Development Kit (CDK)を活用した Infrastructure as Code (IaC)を使用することで、開発プロセスが自動化され、効率的かつ一貫性のある環境構築が可能となりました」と片野氏は話します。
一方で、苦労したこともありました。インメモリから Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) に移行したため、データ構造に変更が発生しており、正常にデータが反映されないことがあったのです。「データ構造を再設計して対応しました。また、Amazon RDS の処理速度を向上させるために、テーブルのパーティション分割、インデックス登録などの工夫をしました。データベースは、サービスの可用性を考慮し、Amazon Aurora を採用しています」と片野氏は説明します。
動物病院側では、アプリケーションのアップデートのみで移行に対応するようにしました。「動物病院の先生方は IT に詳しいわけではないので、問い合わせに対応できるよう、コールセンターの体制を強化して移行に臨みました。個別にサポートできたことで、大きなトラブルなく移行が完了しました。移行後は、前に比べてサービスがより安定した、速度が上がったという声をいただいています」と菊地氏は話します。
課題を解消し、コスト削減効果も。導入病院数を増やし事業を拡大したい
システムを移行したことで、システム構成がシンプルになり、SPOF の解消など抱えていた課題を解決できました。「月額の運用コストは、移行前に比べて約 50 %削減できました。また、AWS を使用していることで、動物病院からの反応が良くなったという報告が営業部からありました。今後の新規顧客獲得にも効果がありそうです」と菊地氏は期待を込めます。
同社では、今後も引き続き動物病院向けのサービスを強化していきます。「例えば飼い主が Web から予約を入れられる、獣医師がWeb から調剤指示を出し、飼い主の自宅に薬が配達されるなど、アニレセクラウドの機能開発以外にも、他のサービスと連携することで新しいサービスの展開が可能で、動物病院の業務になくてはならないシステムになっていきます。アニコム パフェでは、アニレセクラウドが動物病院の売上をあげるための システムとして貢献し、普及していくことを目指しています。さらに今後の展開としては、動物病院のビッグデータを活用しながら、未病にも対応していくような新しいアプローチも検討しております。そのためには、まずはアニレセクラウドの普及をさらに進めていきたいです」と菊地氏は展望を語りました。
カスタマープロフィール:アニコム パフェ株式会社
創業: 2004 年 12 月 24 日
資本金: 5,000 万円
従業員数: 83人
事業内容:飼い主・動物病院支援事業
URL: https://www.anicom-pafe.com/
AWS 導入後の効果と今後の展開
- システム構成のシンプル化と SPOF の完全排除によるサービス可用性の大幅な向上
- レスポンス速度の改善
- 運用コストを約 50 %削減
- 導入動物病院を増やし、シェア拡大
AWS パートナー
株式会社電算システム
電算システムは独立系の IT 企業として、システムの提案から設計・開発、ハード調達、運用保守まですべてをワンストップサービスで提供しています。AWS につきましても、「AWS SolutionProvider」を締結し、幅広いソリューションを提供し、お客様のクラウドシフト、クラウドファースト、DX 推進を支援します。
ご利用中の主なサービス
- Amazon ECS(AWS Fargate)
- Amazon Aurora
- Amazon ElastiCache(Redis)
- Amazon OpenSearch
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